都市交通空間における集合的知性の創発とその応用

 

 デジタルコンテンツや情報サービスの設計においては、ユーザーの集合知を取り入れたデザイン方法が発展しつつあるが、現実の生活空間における環境やサービスの創造においては、依然として一部の生産者(設計者)と多数の消費者(利用者)という工業社会的モデルから脱却できていない。

 本研究は、都市交通空間において人々の空間認知と群衆的行動の関係にユビキタスなデジタル技術を介入させることで、リアルな空間で創発する集合知を生活環境やサービスの設計に組み込む方法を開発し、今後の都市設計や空間的サービスのマネジメント手法への応用の可能性を探る。我が国における都市形成の主要な要素であり、また様々な生活者の流動と滞留が融合して生じる鉄道駅空間を研究のフィールドに設定し、同空間における集合知の創発と自立分散協調的な群衆行動の喚起、またその結果を同空間のサービス向上へと還元していくための実地調査、システムや方法の検討、さらにサービスモデルのトライアルを実施する。特に初年度には、鉄道駅空間での空間的な情報提供と利用者の群衆行動の関係について調査を実施し、同時にWebやユビキタス技術を応用した群衆的行動創発のためのサービス開発について検討を行なう。都市交通空間における情報提供と群衆的行動との関係についての特性を把握することにより、交通空間での情報提供と群衆行動の組織化につながる、メディアと一体になった空間デザインの発展に資する有効な知見を獲得する。

 また本研究プロジェクトの推進方法や成果を順次公開することで、従来分野の壁によって対話や恊働が限定されてきた、都市空間設計、経済地理、メディアデザインを横断する研究の意義を示すことが期待できる。