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DigiMoku Project / デジもく・プロジェクト

私たちは情報技術の革新的な活用方法により、21世紀のサスティナブルな新木造構法を研究しています。

そのために、コンピューターの高速な情報処理能力を活かした デザイン手法と、デジタルな部品生産とを連動させる建築技術を開発しています。この技術が大量生産のデザイン原理を脱皮し、人間の活動に適応して、柔軟に組み替えながら長期的に利用できる木造建築の伝統的なサスティナビリティを甦らせることに繋がると考えています。今回の展示では、都心における7階建ての高層商業建築を想定したDigital Woods の模型と、軽量で簡易に施工可能な仮設建築を想定したPorous Torusのデモンストレーションを行っています。

Digital Woods の詳しい解説はこちら

DigiMoku

Porous Torus / ポーラス・トーラス

Porous Torusはコンピューテーショナル・デザインとデジタル・ファブリケーションによって達成された、木材を構造体に用いた仮設建築です。

Porous Torus

Digital Fabrication / デジタル・ファブリケーション

Porous Torusの曲面体はレーザーカッターで切られた全部でxx個の部品からつくられています。

部品には同一のものも、そうでないものもあり、全部でxx種類ありますが、全体の形態から部品図を自動的に作成するソフトウェアを作成し、各部品のID 番号までレーザーの加工データに直接書き込むことで、その製作は圧倒的に簡単にできます。レーザーカッターにとっては部品の種類は問題ではないからです。

Digital Fabrication

IT Hand Assembly / ITハンド・アッセンブリー

Porous Torusの曲面体は、高精度な切削制御によって可能になった木材同士の接合方法を実験しています。

釘もネジも道具も使わない事や、小さく分割された軽量な部品だけでも非常にスピーディーに接合可能な事を追求すれば、重たいものを持ち上げる機械ではなく、スマートな情報技術が人間の作業を簡易にしてくれるからです。

Assembly Process

Prametric Model / パラメトリック・モデル

Porous Torusの曲面体の形状はパラメトリック・モデルと呼ばれる全てが連動して変形可能な形式のコンピューターモデルとしてつくられています。

そのため同じ組立方法のモデルのままで、曲面の形状を何度でも描き直す事ができます。

Prametric Model with Rhinoceros+Grasshopper

Distributed Geometry / ディストリビューテッド・ジオメトリ

Porous Torusの曲面体は、一見ランダムにも見える分割幾何学で散逸的に構成されています。

自然界には珍しくないトーラス形状の角度分割による放射状の幾何学構造は、放射の中心と周縁では角度分割の寸法差が大きくなるために、部品を同一にできる幾何学が難しく、大量生産の工業製品を組み合わせて構成するにはとても不利な形状でした。分割にある程度の許容範囲を持たせてのアミダクジの様に部分の誤差を分散する幾何学が採用されています。

Distributed Geometry

Algorithmic Design / アルゴリズミック・デザイン

Porous Torus の曲面体のディストリビューテッド・ジオメトリはコンピューターによって探索的に発見されています。

コンピューターはゲームでもする様にランダムにサイコロを振りながら、縦板間隔の最大最小が決められた相互関係が、条件を満足するまで何万回もパズルを解き続けるアルゴリズムでこのパターンを求めています。単純なルールの繰り返しに知的な働きをさせるこのような手法がアルゴリズミック・デザインです。

Algorithmic Design

Computational Pattern / コンピューテーショナル・パターン

Porous Torusの曲面体の構造に開いた無数の穴はコンピューターと我々のコラボレーションによるデザインです。

もちろん軽量化の目的もありますが、恣意的に決めたのではなく、部品同士の接合方法、部品の適切な大きさ、曲面分割ジオメトリなどの様々なデザイン要因が複雑に影響した結果が結果的に造り上げ、同じモデル、同じジオメトリ、同じアルゴリズムを使っても二度と同じにはならない不思議なパターンです。

Computational Pattern

Rapid Prototyping / ラピッド・プロトタイピング

Porous Torusや他のデジモク・プロジェクトの研究開発のために、池田研究室では無数のアイデアを高速に実体モデル化する方法で検討しています。

コンピューター上のアイデアを、レーザーカッターや3次元プリンターを設置した「SFCものづくり工房」で製作できるようにするノウハウが、そのままスケールの大きな実物の製作方法の技術開発につながるのもデータ制御を中心にしたものづくりの特徴です。

Rapid Prototyping

And you? Café / 安住家具

ORF2010「安住なき先駆」の関連図書展示を兼ねた休憩スペースのインテリアを、デザインから製作まで池田研究室が担当しました。

来場者を異空間へ誘いつつ、ここだけは束の間の「安住」をしてもらえる様に、「ありそうで、なさそうな」ギャップ感のある場所をつくる事が目的でしたが、ここでも「デジタル技術による新しいものづくりと身体感覚・伝統文化の融合」というデジもくプロジェクトのコンセプトが活かされています。

And you? Café

TATAmate / タタメイト

TATAmateは畳をアレンジした自由に移動可能な家具ユニットです。

オフィスビルに突如出現したイ草の香る畳の質感が、我々の身体に染み込んだ懐かしさを伴う和みの感覚を誘う事が狙いですが、その一方で、キャスターで動かせるチェア感覚で自由に空間を演出できます。製作に当たり最も活躍したのはあらゆるものの部品発注やデータ送信による加工依頼が可能なインターネット・ショッピングです。部品データを集めてコンピュータモデルをつくる事が新たなDIY製作である事を示しています。

TATAmate

twisTANA / ツイスタナ

twisTANAはHPシェルと呼ばれる直線材で曲面を構成する幾何学をつかってデザインされた本棚です。

単純な切り欠き加工のかみ合わせで、ねじれたような曲面が強度を保つ不思議な棚をつくる事ができました。どんなに複雑でもデータづくりのアイデアと3次元モデリングとネットワークさえあれば、特殊な大工道具も熟練した技は不要で、加工機を持つ工場にデータを送信して待つだけで世界中が無限の可能性のある一品生産工場になります。

twisTANA

HON-Demand / ホンデマンド

HON-Demandは、展示のために関連図書の中から選ばれた50冊の図書それぞれのオートクチュールとしてつくられたアクリル製ブックスタンドです。

普通の画像スキャナーとレーザー加工機を組み合わせただけで、誰にでも本当に簡単につくれてしまいます。このように現実空間を取り込んだデータが新しいものづくりの情報化をさらに加速させるのです。

HON-Demand

About / 展示概要

  • SFC Open Research Forum 2010 研究室展示
  • 2010年11月22日(月)〜23日(火・祝) 10:00〜19:30
  • 六本木アカデミーヒルズ40(六本木ヒルズ森タワー40階)入場無料 事前登録不要

ikeda-lab. SFC Open Reserch Forum 六本木アカデミーヒルズ アクセスマップ

Laser Cutting Machine